1961.627 復員第一〇五一号

                              復員第 1051 号
                            昭和36年6月27日

各都道府県主管様 御中

厚生省援護局復員様

     戦争裁判関係死没者の遺書等を靖国神社宝物遺品館に
     陳列するため出品あつせんについて(依頼)

 靖国神社においては、旧遊就館の一部復活し、「宝物遺品館」として、本年春季例大祭から将来に向かって一般の観覧に供しております。
これについて同神社側から、戦争裁判の関係で死亡した者の遺書等も陳列するため、出品のあつせんを依頼されたので、貴県(都、道、府)下に居住する当該遺族にこの旨をお伝えいただき、おおむね別添出品要領により、出品のあつせんをお願いします。
 なお、出品希望者には、予め同神社側と連絡のうえ出品物の発送の時期について打ち合わせられるように同神社側が希望しておりますので、申し添えます。
 おつて、出品の希望者がある場合出品の方法については、県等を通じるか、または出品者から直接同神社あて送付る等適宣にお願いします。


通知先  各都道府県
写 靖国神社


     戦争裁判関係死没者の遺書等靖国神社宝物遺品館への出品要領

(出品の区分)
1.出品を次の3区分とする。
(1)陳列終了まで靖国神社に預けるもの。
(2)永久保存を靖国神社に依頼するもの。
  (3)靖国神社に寄贈するもの。

(出品物の種類および内容)
2.出品物は、戦争裁判関係死没者の遺書等とし、遺書は死没者が最後(死没に一番近い 時期)の直筆で、その内容は、父母、妻子等にあてたものまたは、裁判内容について訴 えたもの等のいわゆる「絶筆」とし、これに本人の写真(なるべく死亡時に近いもので、 大きい手札版を標準とし、裏面に身分氏名を記載したもの)があれば1枚
  上記以外の物は、靖国神社と協議のうえ決定する。

(出品のあて先および届ける要領)
3.出品物は、出品者が直接靖国神社(東京都千代田区九段3−6、宮司筑波藤麿)に持 参するか、または出品者の負担で書留郵便等を利用して同神社に届ける。

(出品の際の要領)
4.遺書を出品する際は、おおむね厚地紙大封筒(30×22) の表面中央に「戦争裁 判関係死没者遺書」 と太めに墨書きし、その左右適当の配列に死没者の最後の所属、 身分、氏名、死没者の年令、死没年月日、死没場所、(マニラまたはタイビン等)、刑 死獄死等の別、遺書の目録(鉛筆書半紙縦横何センチの遺書何枚、または同じく何枚綴 りの遺書何冊)とし、写真があれば何版の何枚の写真1枚と記載する。
  その裏面には第1項の各号の区分を、その下に出品者の住所、遺書を書いた本人との続柄、氏名(電話番号)を記載する。
  また、これを直接同神社側に手渡す場合は、そのまま、郵送の場合は更に封筒に入れる。
5.出品の遺書等が非常に困難をきわめた特殊な事情(方法)で遺族の手に渡った等の場合は、その証明書または要旨を同封する。 
(預り証等について)
6.出品物は、その到着を持って、預り証書を、寄贈の場合は受領書を靖国神社宮司から直接出品者に送付する。

(出品物に対する責任の分界)
7.その出品物が同神社に到着のときから、第1項第1号の場合は、陳列が終了して返品するため同神社が出品者あて発送(直接出品者に手渡すか、同神社の負担により書留郵 便等による)するまでは、同神社において責任を負い、この間においては、第1項第2 号の出品を含み、紛失、損傷、虫害、汚損等の絶無を期し、万一事故が発生し、これが 不可抗力等の場合を除き、その責任が同神社側にある場合は、同神社は、出品者と話し 合いののうえ、宝物としての価値に相当する損害賠償する。

(出品物の返戻について)
8.出品物のうち預かった分は、陳列の終了次第出品者に返戻し、また陳列前でも出品物から特に申出があれば返戻する。

(品物の陳列の時期等について)
9.遺書等出品物の陳列の時期およびその内容の選択等は、同神社側に一任することにする。
10.遺書等の陳列の期間は、同一のものをおおむね3ヵ月とするが、状況により長くなることがある。

(陳列品を利用する場合)
11.陳列品は、同神社において撮影等するみとがあるが、特に図画(写真帳等)の出版等に利用する場合は、事前に出品者の承諾を得ることとする。

(出品物に対する謝礼等について)
12.出品物に対する謝礼については、現在のところとりきめはないが、観覧優待券を送付し、全宝物遺品館の観覧(普通1人20円)を無料扱にする。